不在
セブンイレブン照り焼きチキンとたまごのサンドは、常に選択肢の3番目くらいにいた。
出会いがいつだったか、思い出すことができない。君はいつだって、3番目の位置にいた。
いつも、居てくれたから。
今日僕は君の不在に気づいた。いや、少し前から気付いてはいたんだ。
けれど僕は、きっと珍しく売り切れているんだ、と自分に言い聞かせて、君がいつの間にかいなくなっていたことから、いなくなっていたことに気づかなかったことから、目を背けていた。
君とのお別れの日が思い出せないんだ。
君はどんな気持ちでここを去っていたのだろうか。
僕はその日、何をしていた?何を手に取った?
君はそれを、どんな気持ちで見ていたんだい?
僕は君のことが嫌いじゃなかった。
少し食べづらいことや、実は少し臭いがきついこととか、そういうところも含めて好きだったんだ。
僕は君に会いたいんだ。会って話がしたい。
馬鹿だよなあ、いつまでもそこにいるなんてこと、ないのに。
君はいま、どこで何をしているんだい。
僕は君に想いを馳せながら、チキンカツサンドを手に取った。